イギリスのジャッカル vs フィリピンの閃光
フランプトンにホームのアドバンテージ

  • 2018/06/01

 この試合はWBO世界フェザー級挑戦者決定戦として行われる予定だったが、3月に4度目の防衛を果たしたオスカル・バルデス(27=メキシコ)がアゴを骨折して戦線離脱したため、暫定王座決定戦に昇格した。試合1ヵ月前のことである。これを聞いたフランプトンは「この試合の意義がより明確になり、さらにモチベーションが上がった」と喜んだ。一方のドネアにしても数年前にフランプトンとの対戦が決まりかけながら流れた経緯があるだけに、やっと辿り着いたという思いがあるはずだ。「ずっとフランプトンと戦いたかったんだ。彼は相手から対戦を敬遠されるほどの優れた選手。だからこそ戦ってみたい」と話している。
 「ジャッカル」というニックネームを持つフランプトンはアマチュアを経て09年6月にプロデビュー。スーパー・バンタム級の英連邦王座、IBFインターコンチネンタル王座、EBU欧州王座を獲得したあと14年9月にキコ・マルチネス(スペイン)を12回判定で下してIBF王座を手にした。2度目の防衛戦では米国進出を果たしたが、いきなり初回に2度のダウンを喫するなど大苦戦。その後、ポイントを重ねて判定勝ちを収めたが、評価を上げることはできなかった。次戦ではWBA王者のスコット・クィッグ(イギリス)に12回判定勝ちを収めて2団体の王座統一を果たした。しかし、これも判定が2対1に割れたこともあって必ずしも手放しで喜べる内容というわけではなかった。
 フランプトンの名前と評価を大きくアップさせたのは16年7月のレオ・サンタ・クルス(29=メキシコ)戦であろう。当時33戦無敗だったサンタ・クルスを判定で破りWBA世界フェザー級スーパー王座を獲得、2階級制覇を成し遂げたのだ。この勝利でフランプトンはボクサーの強さ指数ともいうべき「パウンド・フォー・パウンド」の上位に進出した。半年後の再戦では小差の判定負けを喫したが、それほど評価を落とす敗北ではなかった。むしろサンタ・クルスと同等の力量の持ち主であることを改めて印象づけたといえるかもしれない。ただし、無冠に戻ってからの近況に関しては、必ずしも芳しいものとはいえない。昨年7月に予定されたWBA世界フェザー級挑戦者決定戦は規定体重をつくることができず(相手が試合前夜に負傷したため試合は中止)、また昨年11月の試合では大差をつけて判定勝ちしたものの不覚のダウンを喫しているのだ。リング外でも長年組んできたビジネス・パートナー(プロモーター)と決別している。
 不安を抱えて臨む試合という点はドネアも同じだ。35歳という年齢を考えれば、フランプトン以上の危機感があるといっていいだろう。すでにフライ級からフェザー級までの5階級で世界制覇を成し遂げているドネアだが、フェザー級ではサイズ不足が響いてか満足のいくパフォーマンスを披露しきれていない。14年10月のニコラス・ウォータース(ジャマイカ)戦ではキャリア唯一のTKO負けを喫している。スーパー・バンタム級に戻したあと再びフェザー級に転向したが、昨年9月の試合では10回判定勝ちを収めたものの格下のパンチを浴びる場面も少なくなかった。
 「フィリピーノ・フラッシュ(閃光)」と呼ばれるドネアの持ち味はスピードとパワー、左右どちらの構えでも戦える器用さ、10年以上も世界のトップに居続ける高い経験値などだが、近年は機密さが薄れ、力任せの左フックを狙う荒っぽい試合が目につく。これが年齢からくる衰えだとしたら戦闘スタイルそのものを考え直す必要が出てきそうだ。昨年、トップランク社を離れてリングスター・スポーツ社と組んでおり、ビジネス・パートナーを変えたという点でもフランプトンと近況は似ている。
 ともに下のクラスから上げてきたわけだが、最近の試合を見る限りはフランプトンの方がより新階級に馴染んでいるといえる。無理にKOを狙わず、左ジャブで試合を支配して勝利の下固めをしたうえで最良の結果(KO)に繋げるという考え方が透けて見える。それに対しドネアはKO勝ちを前提に組み立てを考えているフシがうかがえる。
 地元での試合ということもあり、まずは印象点を稼ぎたいフランプトンは足をつかいながら丹念に左ジャブを突いて序盤を支配しにかかるものと思われる。ここでドネアが根気よく左ジャブを突き返し、逆に差し勝つことができるかどうか。最初のカギはそのあたりにありそうだ。焦りや力みを除くためにも、ドネアは前半で流れを引き寄せておきたい。

フェザー級トップ戦線の現状

WBA SC :レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
WBA   :アブネル・マレス(メキシコ)
WBA 暫定:ヘスス・ロハス(プエルトリコ)
WBC   :ゲイリー・ラッセル(アメリカ)
IBF   :ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)
WBO   :オスカル・バルデス(メキシコ)

 この数年、団体や階級の壁を越えて世界王者同士の対戦が頻繁に組まれる傾向があるが、このクラスも例外ではない。すでにWBAのスーパー王者、レオ・サンタ・クルス(29=メキシコ)とレギュラー王者のアブネル・マレス(32=メキシコ)の団体内統一戦が決まっている。両者は3年前に対戦して激闘の末、サンタ・クルスが12回判定勝ちを収めているが、今回はどんな結果になるのか。勝者がこの階級の第一人者として認められることになりそうだ。
 WBC王者のゲイリー・ラッセル(アメリカ)は6月5日に30歳の誕生日を迎える。スピード、テクニック、パワーを兼備した総合戦力の高いサウスポーで、他団体王者との統一戦に強い興味を持っている。故障が多い点が気になるが、コンディションさえ問題なければこの階級を平定する力量は十分にある。
 WBO王者のオスカル・バルデス(27=メキシコ)は24戦全勝(19KO)のスラッガーだが、今年3月のスコット・クィッグ(29=イギリス)とのV4戦でアゴを骨折、戦線離脱している。早くても復帰は秋になりそうだ。そのために設けられることになった暫定王座の決定戦が今回のカール・フランプトン(31=イギリス)対ノニト・ドネア(35=フィリピン/アメリカ)戦だ。勝者はまずバルデスとの団体内統一戦を課されることになるが、ふたりともその先にある他団体王者との統一戦も厭わない構えをみせている。
 無冠組では、マーク・マグサヨ(22)、ジャック・テポラ(25)、ジェネシス・セルバニア(26=カシミ)らフィリピン勢と、清水聡(32=大橋)、阿部麗也(25=KG大和)、久保隼(28=真正)、4月に日本王座を獲得した源大輝(27=ワタナベ)ら日本勢が挑戦の機会をうかがっている。

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