佐々木クリスが語る「現役最強の進化」

  • 2017/12/19

レブロン・ジェームズ

「現役最強」と称されて久しいクリーブランド・キャバリアーズの“キング”ことレブロン・ジェームズがMVPレースの最前線に戻ってきた。

現役最強ならば毎年のことではないのか?あまりNBAに馴染みの無いファンならば当然持つ疑問だろう。ただ過去4シーズンのMVPはレブロン以外の選手が受賞しており、現役最強の称号はむしろ7年連続NBAファイナル進出という60年代のNBA以降では前人未到の偉業に支えられている。
では、なぜ過去10年でレブロンがMVPトロフィーを持ち帰ったのが4回に過ぎないのか?
まずはその説明すべきだろう。

まずひとつ目。15シーズン目のレブロンと同じ2003-04シーズンから、もしくはそれ以降にデビューした選手でレギュラーシーズン、プレーオフ合算で最も出場時間が長い選手はオクラホマシティ・サンダーのカーメロ・アンソニーだが、レブロンは彼よりも12708分も多く出場している。
これはNBAファイナルまで到達した過去7シーズン、レブロンの平均的な1シーズンの出場時間でみると実に3.5シーズン分に匹敵する。
これほどまでの出場時間を支える背景には、レブロンが誰よりも多くプレーするなかで、怪我のリスクを回避するためや、プレーオフ中に爆発させるための特別なギアを取っておくからに他ならない。試合の要所だけ〆たり、シーズン中の連戦では計画的に休養を取ったり、小さな怪我があれば大事も取って出場を見送ったりもしてきた。
それだけ競争相手との隔たりが大きいとも解釈出来るが、レブロンのレギュラーシーズン中のパフォーマンスはここ数年総じてアメリカで“コースティング”=惰走、と表現されてきた。つまるところプレーオフ以外ではレブロンの本気が拝めないのが”シーズンMVP”争いに影響してきたのだ。

二つ目に挙げられる要因としては、MVPを決める投票権を持つ記者やメディア関係者の“飽き”の問題だ。我々人間の悪いところはどんな高級フレンチや松坂牛でも毎日食していると、飽きが来てしまうところ…どんなにレブロンのパフォーマンスが高くても彼より新鮮味があったり、ストーリー性があるプレーヤーがあらわれると、最後の天秤で話題性を取ってしまう現象についてはアメリカでも言われている。

個人的には1番目の理由が大きい。あくまでもレギュラーシーズン中の活躍やチームへの貢献度を賞賛するMVPを決めるのであればと、過去数年は自分もレブロン以外の選手を推してきた。ここで何をハッキリさせておきたいかと言うと、それはレブロンがMVPに値するか否かが話題となった時、その比較対象は多くの場合、他の選手だけではなく過去にMVPを受賞したシーズン中の彼自身のパフォーマンスが大きな陰を落としていると言うことだ。

ただしピーク年齢が28歳から30歳と言われるバスケットボールにおいて、レブロンは33歳の誕生日を今月末に控えている。ということは今季のレブロンのパフォーマンスは下降しているはずなのだが…実を言うとキャリア15シーズン目にして“進化”しているのだ。

レブロンと言えばまず、強靭な肉体と迸る運動能力を武器に見せる“リング・アタック”だろう。今季はシーズン平均でリーグ2位の14.7得点をペイントエリアからあげているが、これは2シーズン前の自己ベストを超えている。
さらにリングから1.5m以内の制限区域内での彼のFG確率を観てみると78.1%と13-14シーズンの自己ベスト78.3%とほぼ同じだ。この成功率は今季制限区域内で100本以上のシュートを放っている59人中1位であるばかりか、彼以外の成功率TOP10の選手で3ptを100本以上放っている選手はいない。つまりレブロン以外はビックマンであって、持っている強みも特定のエリアに限定されている選手なのだ。

レブロンもかつては3ptを苦手としていた。ルーキーシーズンの成功率は29%、初めてファイナルの舞台に到達した2007年にはスパーズ相手に3ptは4/20と振るわずチームも屈辱のスイープ(4連敗)を喫した。その3ptが今季はキャリア最高の42.2%まで向上。それもマイアミ・ヒート時代にレイ・アレンから学んで向上させたキャッチ&シュートではなく、今季はドリブルからのプルアップが好調で41.1%と恐ろしい確率で決まっているのだ。毎年課題を克服し、自らの成長を達成している彼としても、これほどスコアラーとして極まっているシーズンは無かったと断言出来る。単純なFG成功率でもキャリア最高の58.3%はもはやオマケ状態だ。

過去のレブロンを上回る項目は他にもある。しかしシュートを決める競技においてこれだけのデータを示せば如何にレブロンが“仕上がっているか”が伝わったかと思う。

残すはリーグの他のライバル達と比較し、相対的に見て彼のパフォーマンスがどれほどなのかを知る必要があるだろう。先日途絶えたが13連勝も記録し東カンファレンスの順位を駆け上がったキャバリアーズ。
緊迫した場面でのアウトプットはアスリートに取って大きな評価基準のひとつで、人々はそのメンタルの強さを賞賛する。
そんな勝負所=“クラッチ・タイム”と呼ばれる試合残り5分以下、5点差以内の接戦をキャブスは今季16試合戦っており、11勝5敗となっている。このクラッチ・タイム下でのレブロンの出場時間はリーグ9位の61分。
東地区1位のカイリー・アービングはレブロンに肉薄するクラッチ・パフォーマンスをしていることも興味深い上、もうひとりのMVP最有力、西地区1位ジェームズ・ハーデンの在籍するロケッツはリーグ最小の8試合しか接戦が無く、これもまた彼らの強さの裏返しでもあることはお伝えしておこう。それでもレブロンがクラッチ・タイムに記録した81点も15アシストもリーグ最高で、揺るぎない明白な事実なのだ。

もうひとつ、僕自身がレブロンのコート上の動きを見る上で大事にしている、またはコースティングしているか否かを観る指標、それは相手へのシュートブロックだ。キャリアと共に経験値が増し、シュートの精度や判断が向上しターンオーバーが減ると言うのは他の選手でも十分考えられる。しかし、今季のレブロンは9シーズン前の水準(1.1本)で今季1試合平均のブロックを記録している。

2016年のNBAファイナルでウォリアーズとアンドレ・イグダーラを一刀両断した王の剣“エクスカリバー”。コースティングしている時にレブロンがこの伝家の宝刀を抜くことは少ない。確かに経験値や読み、IQの高さ、タイミングでカバー出来るものもあるだろう…しかし今季のレブロンのハイライトを見ている方ならバレーのスパイクの様な床に叩き付けられるボールの無惨な跳ね方や、バックボードにまるで釘打ちされるようなシーンを見ているはずだ。

レブロンのシーズン別スタッツを年表で比較した場合、今季の4Qブロック数0.6はこれまでの過去最高と比べても倍。これだけの気迫をおよそ1試合分、100回の攻撃権換算を通じて見せていれば3.0ブロックとあっという間に今季NBAのブロック王となるのだ。

周りの選手の守備力の欠如からブロックの機会が増えている、終盤にレブロンが奮起しなければならないほどチーム状態が悪かった。ブロック増加の要因は簡単に想像出来る。それでもキャリア15年目の選手がスイッチの様に簡単にギアを入れる様は恐ろしい。

現役最強。82試合終了時点でMVPトロフィーが他の選手に渡ろうと、玉座に添えられようとその事実は変わらないのかも知れない。

参考スタッツは全てNBA.com/stats より 12/14時点


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