近年は、各国の戦い方、プレーの仕方、ラグビーの環境などが均質化してきている
名将、ロビー・ディーンズ監督が語るシックス・ネーションズ

  • 2018/2/22

近年は、各国の戦い方、プレーの仕方、ラグビーの環境などが均質化してきている 名将、ロビー・ディーンズ監督が語るシックス・ネーションズ

©NOBU OTOMO

日本ラグビー界で、トヨタ自動車ヴェルブリッツのジェイク・ホワイト監督と並ぶ世界的名将がパナソニック ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督だ。スーパーラグビーのクルセイダーズでリッチー・マコウやダン・カーターらの名選手を育て、4度の優勝という黄金時代を築き、オーストラリア代表ヘッドコーチへ転身してワールドカップ4強。パナソニック監督としても就任1年目の2014年度からトップリーグ連続優勝。さらに世界選抜やバーバリアンズの指揮官として世界のトップ選手を招集、交流してきた。選手としてもオールブラックスでプレーしただけでなく、欧州でもプレー。選手として、コーチとして、世界のラグビーを知り尽くす名将が語るシックス・ネーションズとは?


――ロビーさんにとって、シックス・ネーションズとはどんな大会でしょうか?

 一言で言って、素晴らしい大会だよ。そして、発展し続けている大会だと思う。
 近年の特徴としては、各国の戦い方、プレーの仕方、ラグビーの環境などが均質化してきたことがあげられると思う。
 一方で、これまでの伝統的な魅力、歴史的な背景を考えると、各国のラグビースタイルに差があった方が良い、その方が魅力的だという考え方もある。互いに長年のライバル意識もある。これまでは、その違いがテストマッチの魅力を作ってきたけれど、今はその差が本当に小さくなったと思う。やはり、プロフェッショナルの時代になったことで、戦術やコーチング理論、トレーニング理論など情報面の交流が飛躍的に多くなったし、コーチたち自身、選手たち自身も南半球・北半球の区別なく行き交うようになった。それまでの違いが少なくなるのは避けられないだろうね。

――ロビーさんは北半球でプレーした経験はありますか?

 フランスでプレーした経験があるよ。幸い、ワンシーズンだけだったけどね(笑)。言葉が違っていたのはもちろんのこと、それまでニュージーランドで経験していたラグビーとは何もかも違った。特に違ったのは準備の部分だ。同じことをするのでも、北半球と南半球、その中でもそれぞれの国、その中の地域によって、いろいろなアプローチの仕方があると学んだよ。とても刺激的な経験だった。プレーヤーとしてもコーチとしても、私にとって必要不可欠な経験になったね。

――コーチングも違っていた?

 当時はずいぶん違っていたね。今は、ニュージーランドなど南半球のコーチがたくさん北半球に行っているから、昔ほど違いはなくなってきたけどね。でも、文化的な背景や伝統的な戦い方があるから、プレー面の特徴は残っているよ。ここ(日本)で行われているラグビーとは明らかに違う。同じ競技だから同じ所もあるけれど、はっきりした違いもある。気候も違うし、どこの国も自分たちの持ち味、強みを活かしたプレーをしているからね。それは技術の面でも、戦術の面でも、そしてフィジカルをどう鍛えてどう活かすかと言う面にも及ぶ。僕も、実際にプレーヤーとして北半球のラグビーを経験できたことはラッキーだったと思う。どちらが良い悪いということじゃなく、それぞれの国に、それぞれのやり方があるということ。特にテストマッチみたいな大きな舞台では、いつもやっているスタイル、国の特徴がはっきり出る。プレッシャーがかかるほど、いつもと違うものは出せなくなるからね。
 11月の日本とフランスのテストマッチなんて、その特徴が良く出ていたと思うな。日本は早くワイドにボールを動かしたい。フランスはそのペースを断ち切って、ゲームをスローダウンさせたい。体の大きさ、腕力の強さを活かした戦いに持ち込みたいんだ。

――各国の特徴を伺っていきます。まずイングランドについて

 一言で言うと資源の塊だね。多種多様なタイプの選手がたくさん揃っている。トレーニングする文化も備わっていて、体が大きく、強い選手がたくさんいる。そういうチームに対抗するのは大変なことだよね。もっと大きく強く速くならないといけないんだから。だけどイングランドは、プレーの面でもものすごく進化している。以前よりもゲームを進めるスピードが上がっているし、野心を持っているし、優れた判断能力を持った選手を作り出していて、とてもバランスが取れたチームになっている。次のワールドカップが本当に楽しみだよ。

――ワールドカップで日本はアイルランド、スコットランドと同組になっています。

 アイルランドは、ヘッドコーチのジョー・シュミットの影響が大きいと思う。もともと、意欲のある選手が多い、努力する文化が根付いているんだ。自国の持っている資源・素材を最大限に活かしていこうとすること、これはアイルランドの伝統といっていい。プレーヤー人口はイングランドよりもずっと少ないけれど、そんなことは微塵も感じさせないよね。本当に、心からリスペクトしたい国だね。
 スコットランドは、歴史的にはトップランナーと言うよりもチェイスする(追いかける)側、上位の国に食らいついていく側の国と見なされていたけれど、今はもう、その立場には甘んじていないね。イングランドの次、アイルランドの次……といった見方をされるのはもうごめんだ、という強い意志がプレーに現れている。プレーに進化が見えるし、結果を出そうという意志と、勝つことの喜びを覚えてきていると思う。

――シックス・ネーションズの他の国にはどんな印象をお持ちですか。

 ウェールズは多様性を持った国という印象がある。イングランドの特徴とアイルランドの特徴がミックスされていると言えばいいかな。歴史的にみても、1970年代の黄金期には独創的なラグビーを見せていたし、歴史に残るような名選手がたくさん出た。次のワールドカップに向けても、そういう素晴らしい選手をこれからもたくさん発掘していくと思う。試合では、ウェールズ代表からは戦う意志をすごく感じる。まだ南半球の相手に常に勝つようなところには行っていないけれど、その構図は近いうちに変わるかもしれないね。
 そして、フランスは外せない、要注意のチームだ。特にワールドカップのような短期決戦ではね。彼らは気持ちがパフォーマンスに現れるチームで、自分たちを信じているときはとてつもない力を出す。最近のフランスは力が落ちているという見方もあるけれど、2011年のワールドカップを思い出せば分かる。予選プールではトンガに負けたのに、決勝トーナメントではイングランドとウェールズに勝って決勝まで勝ち上がって、決勝ではオールブラックスと1点差の勝負を演じた。フランスが優勝してもおかしくなかったよね。それがあるから、どんなときもフランスは侮れない。

――日本がワールドカップという大会で勝つには何が必要でしょうか。

 ワールドカップという大会では、すべての選手が、自分を捨ててチームを勝たせるためにあらゆるエネルギーを出し切る。代表として大会に臨む以上、その責任があると分かっているし、たくさんの人が自分たちに注目していることも分かっている。2019年には、日本中の人たちが釘付けになると思う。2015年に日本代表が南アフリカを倒したときのことがまた語られるだろうし、次はもっと上を求めることになる。チームも選手もファンも、もう一段上、決勝トーナメントに進むことを願っているし、そこまで行かないと満足できないよね。
 日本代表はそれができるだけのポテンシャルを持っている。サンウルブズに入っている選手たちはスーパーラグビーを通じてインターナショナルの経験を積んでいるし、日本代表としてもスコットランドやアイルランドとも戦っている。今秋にはオールブラックスとも戦う。ワールドカップの頃には十分に経験を積んで、成功するためには何が必要なのかを理解したチームになっているだろうね。

――ありがとうございます。最後に、今年のシックス・ネーションズの優勝を予想していただけますか?

 ははは。人生で最後のギャンブルにしたいくらい難しいね。そもそも僕は賭け事は好きじゃないんだ(笑)。だけど、そうだね、もしも自分の家が担保に入っていて、どれかひとつをどうしても選べと言われたら……今シーズンなら、僕はイングランドを選ぶだろうな。なぜなら、まずエディー(ジョーンズ)が「結果を出す」と何度も言っているし、彼は言ったことを実行する人間だからね。彼は多くの選手を見てきて、コーチングの引き出しもたくさん持っている。そして、勝利を目指すことに対してものすごく貪欲で妥協がないんだ。選手たちも、それについていくしかないと思うよ(笑)。


【独占取材!】シックス・ネーションズを「狩り」に行く! エディー・ジョーンズ(イングランド代表ヘッドコーチ)インタビュー ©NOBU OTOMO

ロビー・ディーンズ
1959年9月4日、ニュージーランド・クライストチャーチ北郊シェビオット生まれ。58歳。
クライストチャーチRFCでラグビーを始める。ポジションはFB(フルバック)。
カンタベリー州代表では146試合出場、1,641得点の記録を持つ。
オールブラックスでは1983-1984年に5キャップ、通算50得点。
引退後はコーチに転身し、1997年カンタベリー代表を率いてNPC(NZ選手権)優勝。
クルセイダーズの監督として2000年から2008年まで9年間に4度のスーパーラグビー優勝を飾る。2001年から2003年まではオールブラックスのアシスタントコーチも務めた。
2008年からオーストラリア代表監督を務め、2011年ワールドカップではベスト4。
2014年からパナソニック ワイルドナイツ監督に就任し、1年目でトップリーグ優勝。2015年はトップリーグと日本選手権の2冠を達成した。


◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

★「ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
ラグビー欧州最強を決める戦い、3/17(土)まで全試合を生中継!

第3節:
フランスvsイタリア
2/24(土)午前4:45~ WOWOWプライム
アイルランドvsウェールズ
2/24(土)よる11:00~ WOWOWライブ
スコットランドvsイングランド
2/24(土)深夜1:30~ WOWOWライブ

第4節:
アイルランドvsスコットランド
3/10(土)よる11:00~ WOWOWライブ
フランスvsイングランド
3/10(土)深夜1:30~ WOWOWライブ
ウェールズvsイタリア
3/11(日)よる11:50~ WOWOWプライム

最終節:
イタリアvsスコットランド
3/17(土)よる9:15~ WOWOWライブ
イングランドvsアイルランド
3/17(土)よる11:35~ WOWOWライブ
ウェールズvsフランス
3/17(土)深夜1:50~ WOWOWライブ

■詳しくは、WOWOWラグビーオフィシャルサイトをチェック!
http://www.wowow.co.jp/sports/rugby/

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WOWOWのラグビー公式アカウントです。WOWOWで放送するラグビーの放送スケジュール、最新ニュース等を中心につぶやいていきます。

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